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めがねの素材『セル枠・初級編』

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同じような色の2つのフレーム。
実は使っている素材が違うんです。

左のめがねは『セルロイド』
右のめがねは『アセテート』

もしかしたらめがね屋さんで耳にしたことがあるかもしれません。

「じゃあ実際にはどう違うの?」
「どっちがいいの?」

初級編ということで難しい事は抜きにしてご説明します。

 

まったく別の素材?

実はもともとの材料はどちらも同じ。

パルプ

綿やパルプなんです。
植物性の繊維を原材料にしている天然素材と言えます。
この材料にいろいろ加えてプラスチック生地にするのですが、
硝化綿ベースだとセルロイドで、酢酸綿だと…

というのは長くなるので省略しますね。

 

どっちが多い?

メガネ屋さんに並んでいるものの大半はアセテート製です。
割合でいうと9割近くがアセテート製です。

近年では見た目のよく似た樹脂製のめがねも増えていますが
その辺についてはまたの機会にということで。

 

「セル枠」という呼び名は間違い?

「セル枠」という呼び方はもともと”セルロイド製の枠”の略から来ています。
「じゃあアセテートのめがねを”セル枠”というのは間違い?」

いえいえ、そんなことはありません。

昔はプラスチックフレームといえばセルロイド製が当たり前。
なので「プラスチックフレーム=セル枠」と総称していました。
その呼び方が定着してしまったので
現在はまとめて「セル枠」と呼ばれる事もあります。
だから「セル枠」と呼ぶ事は間違いではありませんのでご安心を。

ようは伝わればいいんです(笑)

 なんでセルロイド製が少なくなったの?

実はセルロイドはとてもカラフルで、いろいろな模様にできます。
その上、丈夫で変形しにくくツヤがあり…とても良い素材なんです。

ですが、セルロイドはその原材料の工程上、
「ロットが大きい=1回に大量に作らなければいけない」
のです。

  最近は多種多様なめがねが市場に並んでいますね。
  そんな中で全く同じ色のめがねを数百、数千本も作っても売り尽くせません…

  なので小ロット多品種生産の可能な「アセテート」生地のほうが、 
  現在では主流となってしまいました。

セルロイドは燃えやすい?

セルロイドの発火点は170度前後。
確かに燃えやすい材料ではありますが、
日常生活で普通に使っていて燃えることはそうそうありません。

そもそも金属製やアセテートのメガネだって170度になったら危険です。

燃えやすいのは細かい削りくずや、間違った保管方法で発生するガスなど。
なので、どちらかというと工場側で気をつけることがほとんどです。

もちろん燃やそうと思えば燃えますが、
花火の火花やライターの火などがちょっと当たったくらいでは燃えません。
※だからといって試さないでくださいね!

それぞれの長所は?

セルロイドはアセテートと比べて衝撃に強く、腰が強いのが特徴です。
そのため、細くすっきりとしたフレームも作れますし、
使っているうちに歪んできたり、曲がったりしにくいという長所があります。
そしてなによりツヤが違います。

めがねの素材としては、最適なものの一つだと言えるでしょう。

対してアセテートは小ロット生産が可能ですので、結果、
とてもカラフルで様々なめがね、が生産できます。
また、たくさんのメーカーが開発していて、種類がとても豊富なんです。

ですので、Onimegane®では
男性向けのシックなフレームは質感をこだわってセルロイド製
女性向けのカラフルなものはバリエーション豊富なアセテート製
というように使い分けています。 

専門家に聞いてみました!

 

TさんTさん
セルロイドやアセテートなど
メガネ材料を取り扱うメーカーの社員さん。
「顔写真はNGで」とのこと。

 

 アセテートについて
最近はカラフルなめがねが多いですし、アセテートの取り扱いが多いですね。
毎年新色が100色以上発表されるのでとても楽しいですよ!

 セルロイドについて
やはり保管などの取り扱いには気を遣いますね、
通気性とか高温にならないようにするとか。

 どちらの素材がお好きですか?
う〜ん、難しいところですね、どちらもいいところがあるというか…
カラフルでいろんな加工ができるアセテートと、
一見地味だけど渋みのあるセルロイド。
例えるなら合皮と天然革みたいな感じですかね。
あ、でもセルロイドの独特な香りは好きですよ(笑)

 

マコっさん増永社長
プラスチックフレームのメーカー
「マコト眼鏡」の社長さん。
オリジナルブランドの「歩(AYUMI)」は
すべてセルロイド製。
 

 アセテートについて
セルロイドと比べてとても短い納期で入荷しますし、色数も多いです。
複雑な加工もできて取り扱いも難しくないので、少数多品種の製造に適しています。
まさに今の時代のめがねに合った素材だと言えますね。

 セルロイドについて
めがね作りの際の加工、1つ1つの工程すべてに気を遣わなきゃいけないんですよ。
目を離した間に万が一のことがあると大変ですからね。
硬い材料なので磨きが難しい。この磨きの作業で深みのあるセル独特のツヤが出せるか。
ここが職人のウデの見せ所ですね。

 やはりセルロイドの方がお好きなんですか?
もちろんアセテートもいい素材ですよ。
ただ、なんというかセルロイドはとても『日本人的』だと思うんですよ。
材料の製造からめがねになるまで、すべての工程に細やかな気配りが必要なんです。
どこまで丁寧に、妥協せず真剣に作るか。そこで品質の差がでます。
手をかけた分だけ、上質さ、というか品格のある仕上がりになります。
「手がかかる子ほどかわいい」ってやつですかね(笑)
ぱっと見では分かり難いかもしれませんけども..。
そういった部分では玄人好みの素材と言えるかもしれませんね。

 

どちらもいい素材だけど、Onimegane®はセルロイドが好きなのです。

お二人とも「どちらがいいとは言えない」とのご意見でしたが、
なんとなくセルロイドの方が職人向けの素材といった印象を受けました。

最近はカラフルでバリエーションに富んだめがねが流行りなので、
種類が多く、扱いやすいアセテート素材のめがねが主流になっています。

逆にセルロイドは、材料作りからめがねになるまでのひとつひとつの工程に
職人さんのこだわりが随所に込められていると言えます。

  ぜひ実際に手にとってセルロイド独特の深みのあるツヤや、
  職人の丁寧な仕上げをご堪能ください。

Onimegane®のセルロイドフレームはこちらから

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