雨が降ってきたり、ラーメンのスープが飛んだり。
日常生活でついつい汚れがちなメガネのレンズ。
お手入れの方法は以前ご紹介しましたが
「それでもレンズのよごれがとれない!」という方。
もしかすると、それはよごれではないかも・・・。
というわけで今回はレンズのキズや傷みについて
その種類と原因のおはなしです。
プラスチックレンズの構造
メガネレンズは、プラスチックをレンズの形に加工して
その上に何枚も薄いコーティングを重ねています。
※ガラスレンズについては今回は省略します。
一般的なプラスチックレンズの構造はこんな感じ
※レンズ裏面も同様のコーティングがしてあります。
・レンズ基材 :レンズの基(ベース)の部分
・ハードコート :レンズ基材を保護する硬いコーティング
・反射防止コート:レンズ表面の光の反射を抑えます
・撥水コート :水気をはじいたり、よごれを拭き取りやすくします
それぞれのコートの厚みはなんと0.0001mm以下!
その厚みで均一にコーティングしているってすごい技術ですね。
キズ
まずはわかりやすいレンズ表面のキズから
レンズ表面に砂埃がついたまま拭いてしまったり、何かにぶつけたり・・・
原因はさまざま。
基材に届くほどの深いキズはすぐ分かりますが、
コーティングの部分だけのキズの場合、うっすらとしか見えないので汚れと勘違いしがち。
クラック
角度によっては見えないので気付きにくいのがクラック(ひび割れ)
熱のかかり過ぎが原因で起こります。
プラスチックレンズが耐えられる温度は大体60℃まで。
それを超えるとレンズが膨張して(ふくらんで)しまいます。
しかし、反射防止コートや撥水コートは膨張しない素材なので・・・
図のように引っ張られて割れてしまいます。
もちろんレンズが冷えて縮んでも割れた部分はもとには戻りません。
サウナはもちろん、ドライヤーの熱が原因でも起こります。
夏場の車内に置きっ放しにしたりしても起こりますのでご注意を!
コートはげ
キズやクラックの入った状態で使い続けていると起こるのがコートはげ
キズの部分からコーティングが剥がれてしまう状態です。
かなり広い範囲に起こることあり、見え方にも大きく影響してきます。
よごれと勘違いして思いっきり拭いたりするとさらに広がることも・・・
水ヤケ
パッと見たところ簡単に落ちそうな汚れに見えるのが水ヤケ
水がついたまま放置したりすると起こります。
レンズについた水分が蒸発した後に、含まれていた成分が汚れとして残ります。
撥水コートがしっかり機能してる場合は綺麗におちることもありますが、
細かいキズがあったり、コーティングが劣化していたりすると、
汚れが残ったり染み込んだりして、取れなくなってしまいます。
薬品による腐食
溶剤などの薬品がついたりすると、コーティングが溶けてしまうことも。
といっても、あまり強い薬品はみなさんも気をつけて扱うはずなので大丈夫・・・
と思いきや、日常的に使っているものが原因になることがあります。
弱酸性のハンドソープやアルカリ性の石鹸などのような刺激の弱いものでも
水分が蒸発して濃度が高まると成分が強くなるので危険です。
メガネを洗うときは専用の洗剤や台所用の中性洗剤を使いましょう。
意外に気づかないレンズの傷み
レンズのキズは視界がチラついたり目の疲れの原因になったりと良くないことだらけ。
ですが、ずっと使っているとその見え方に慣れてしまって意外と気づかないなんてことも・・・
そのまま使い続けると視力低下の原因にもなりますので要注意!
レンズのキズは直せない?
「レンズのキズは磨いて直せないの?」
みなさんが一番知りたいところかと思います。
ですが、とても薄く何層も重ねたコーティングや
正確な度数を出すために細かく設計されたレンズ形状など、
メガネレンズはとても精密でデリケートなものです。
残念ながら直すことはできません。
定期的なメンテナンスが大事!
丁寧に扱っていてもちょっとした不注意でキズがついてしまったり、
見た目は全く問題ないのに実は長年の使用で劣化していたり・・・
レンズはあなたの目の健康のためにもとても重要なものです。
長持ちさせるためにも、定期的なメガネ屋さんでの点検をオススメします!